こんにちは! ルカです。
キャラクターデザインの難所、それは「衣装」です。
これを避けて通っては、良いオリジナルキャラクターは作れません。
しかし誰でも手順に従えば、簡単にキャラデザができる。
そんな方法がないものでしょうか?
今回はそんなキャラデザの手順書作りを目指しました!
かくいう私自身、衣装は大の苦手……
よっこいしょ、と言いたくなりますが……(腰が重い)
実はこの記事を書いたことで、私にもやっと攻略法が見えてきたのです。
有効な手順をご紹介できると思うので、ぜひご覧ください。
※前回の記事では顔の描き方について紹介しました。
3つの手順でキャラデザは作れる
「キャラクターデザイン」という行為には、それ一つで考える要素が山盛りです。
そのためまとまりのある冴えたデザインを考案するのは、とても難しい作業です。
しかし「良いデザイン」には決まった形があります。
「良いデザイン」を「型」として捉え、考えるべき要素を順番に考えていきましょう。
この手順に従えば、少なくとも「何も思いつかない」「いつも同じTシャツとパンツ状態」からは抜け出せるはずです!
キャラクターに服を着せられなかった私が、自分でそれを体感しました。
一緒にキャラクターデザインという難所を超えましょう……!
「型」+「アイテム」+「世界観」
衣装の発想のやり方とは?
一つ目の手順です。
①「型」+「アイテム」+「世界観」 = イメージを固める。
この「型」「アイテム」「世界観」とは、最初の「発想する」という段階において考えるべき3つの要素と言えます。
これを組み合わせて、まずは全体のイメージを固めましょう。
簡単に説明すると
- 「型」……シルエット。「良いデザインによくある形」に当てはめて考える。
- 「アイテム」……キャラの特徴を決める、印象的なアイテム。「とりあえずそれがあれば誰かわかる」もの。
- 「世界観」……実際の民族衣装や制服などを資料に用いると良い。
これが「手順①」の段階となります。
分かりやすく図解で見ていきましょう!
まずは「型」
型には主に4つのシルエットのパターンがあります。
① 上ボリューム型 | イメージ : 活発、かわいい、幼い、身軽 |
② 下ボリューム型 | イメージ : 大人びた、お淑やか、ゴージャス |
③ 中間型 | イメージ : おとなしい、真面目、ちゃんとした |
④ストレート型 | イメージ : クール、セクシー、機能的 |
それぞれのキャラクターの背景や性格、生活スタイルに合った「型」を選べると良いです。
上の図のような「型」に大胆なアイテムを足す、または肌の露出を与えることによって、面白みのある衣装デザインを作っていきます。
それでは、実際にはこの型をどうやって使うのでしょうか?
具体的にイメージしやすくするため、それぞれの型の特徴について、もう少し詳しく見てみましょう。
次に「アイテム」
を足していきます。
上の「型」を見て分かるように、このままでは退屈なシルエットです。
大胆な「アイテム」を付け足すことで、まずはこのシルエットに変化を与えましょう。
先述したように「アイテム」=キャラの特徴。
「とりあえずそれがあれば誰かわかる」ものである必要があります。それを念頭にデザインを始めましょう。
では、アイテムとは具体的に何か?
「アイテム」と聞くと武器などが浮かびますが、「衣装」における主な物を下に挙げてみます。
頭 | ・帽子 ・フード ・リボン ・ゴーグル ・耳(動物) |
上半身 | ・襟の形 ・袖の形 ・肩の形 ・腹部、首周りの露出 |
下半身 | ・スカート ・パンツ ・装飾(垂れ布、マントなど) |
頭につけるアイテムは、特にキャラクターを特徴づけやすいです。
それはシルエットに反映されやすいこと、注目される顔まわりのアイテムであること、大胆なモチーフを持ち込みやすいことが理由です。
また「①上ボリューム型」では上半身のシルエットに装飾を加えやすく、えり、袖、肩のデザインは見せどころと言えます。
引き算である「露出」もデザインの垢抜けに有効なので、全体のバランスを見て腹部や首周りに肌色を見せる選択肢があります。
逆に「②下ボリューム型」と「④ストレート型」では下半身のデザインに気を遣いましょう。
型②を見るとついロングスカートをイメージしがちですが、あえてパンツという選択肢を検討するのも面白いです。
型③はとてもシンプルなので、スマートな印象を保ちつつどんどんアイテムを付け足せます。
「③中間型」は、元々がとても特徴のないシルエットです。
大胆な(大きな)アイテムを加えると映えるようになります。
このように、上のイラストのような段階を踏んで、シルエットに変化をつけていきます。
このとき3つ目のポイントである
「世界観」
を同時に意識しておくと良いでしょう。
「世界観」には資料を用意することをおすすめします。
なぜならこのファンタジー的な衣装デザインにおいて、リアリティを加えられるのがこの段階だからです。
架空のキャラクターデザインだからこそ、基礎部分にはリアリティを取り入れたいですね。
最初はネット検索で構いませんが、手元に紙の資料があった方がやりやすいです。
気に入った資料があり長く使えそうであれば、買っておくのがおすすめです。
「国」特有の服 | ・軍服 ・式典の服 ・民族衣装 ・各国のイベントの服 など |
「時代」特有の服 | ・ローマ ・中世 ・平安 ・戦国 など |
「職業」特有の服 | ・警察 ・看護師 ・牧師 ・学校の制服 など |
「架空」の服 | ・近未来 ・サイバーパンク ・神話 など |
「時代」や「職業」のカテゴリは特に参考にしやすいと思います。
リアルを参考にすることはファンタジーに現実感を持たせます。
また現実を土台にすることで、「潜在的なイメージの共有」がキャラクターへの印象に影響します。
例えば「平安貴族っぽい」と思わせれば、そのキャラクターを「ミステリアス」「優雅」「魔術的」などと印象付けることができます。
「イギリスの制服っぽい」と思わせれば、パブリックスクールのイメージから「貴族」「寮生活」「イギリス人的な性質」を潜在的なイメージとして伝えられます。
それでは実際に「世界観」を意識して4つのデザインのイメージを固めましょう。
今回は「軍服」縛りで考えてみます。
手元に良い資料がなかったため、ネット検索で「軍 パレード」などで調べました。
- フランスの軍服
- イギリスの軍服-1
- 日本の甲冑
- イギリスの軍服-2
なかなか良い画像が見つからず、イギリスが2パターンになってしまいました。
やっぱり資料はあった方が便利ですね。今度探しておこうと思います。
ここまででおおよそのイメージは固まります。
この「型」+「アイテム」+「世界観」でイメージを固める段階をクリアすれば、キャラデザの50%は完了したと考えて良いでしょう!
発想の手順はなんとなく掴めたでしょうか?
ここまでのデザインを考える上で、気つけたいポイントを以下に挙げておきます。
Point
①「アイテム」によって「型」に変化を与えるとき、すでに「世界観」は念頭においている。ただし「○○の国の軍服」ではなく「軍服のような服」程度の大雑把な認識で良い。
②シルエットがヤボったい時は「大きなアイテムを入れる」or「肌を露出させる」で大体は解決。
③資料から特徴をとらえ、取り入れる →(例)軍服の場合、角ばったシルエット、帽子、ボタン、肩章……など。目立つ特徴を反映させると「どんな用途の衣装か」が伝わる。「このキャラクターは軍服っぽい衣装だ」=「戦う組織に属しているに違いない」とデザインだけでポジションを印象づけられる。
④デザインする時「現実的か」「実用的か」より「キャラクターとして見栄えが良いか」を第一に考えると上手くいきやすい。
「パーツ」
次に考えるのは「パーツ」です。
②「パーツ」 = 衣装の構成を決める。
ここまでは衣装の大体のイメージを固めたので、②では衣装の詳細を決めていきましょう!
服飾デザインで言うと、①はアイデアのスケッチ、②は布の切り出しでしょうか。
「パーツ」とは文字通り、衣装を構成する部品のこと。
- スカートに見えるシルエットは実は上の服と繋がっているのか、単体のパーツなのか。
- パンツなのか、タイツなのか、素足なのか。
- 上着を着ているか、それ一枚なのか。
- 胸元とウエストの切り替えはあるか
- 各パーツにつける装飾……など。
頭、胸元、袖、スカートはデザインの見せどころなので、この辺りの装飾には特徴を持たせられると良いですね。
特に装飾については、「世界観」で活用した資料を参考にしながら考えていきます。
※写真集のような資料も良いですが、服の詳細が図解してあるような内容だと特におすすめです。
上記を踏まえ、実際に図を見てみましょう。
文字で読むよりもイメージが湧くはずです。
フランス軍を参考にした上の衣装の場合、パーツを考える際に2パターン浮かびました。
上半身のコートの範囲をどこまでにするか、という候補①と候補②です。
両方描いてみた結果、候補②の方を採用しました。こちらの方が最初に思い描いていたイメージに近かったからです。
さてイラストの右側の女の子を見てください。
ほとんどのキャラデザが完成しました。
<仕上げた手順>
- まず左の絵のシルエットを線画にする。
- 資料『華麗なるナポレオン軍の軍服』を見ながら、特徴的な装飾を取り入れていく。帽子→胸元→袖→襟、と描いた後バランスを見ながら肩の飾り→ブーツの折り返しを付け足した。
- 全身のバランスを見ながら髪型を決める。
- 「衣装」+「髪型」の雰囲気で顔立ちを決める。
- 装飾を足し引きする→完成!
他のデザイン(型②〜④)の仕上げ方も同様です。
この「パーツ」の段階は、3つの手順の中で一番時間がかかるところかも知れません。
何度かやるうちに慣れていくので、焦らず取り組みましょう!
「色」+「素材」
さて①と②で衣装の大方のデザインが固まりました。
次は最後の手順です。
「色」と「素材」について考えましょう。
③「色」+「素材」 = 詳細を詰める。
これができればキャラクターデザインの「衣装」という難関は攻略できたと言えますよ!
簡単に説明すると
- 「色」……まず基本の一色を決める。そのキャラのテーマカラーとなる色。
- 「素材」……布、レザー、透ける素材、金属、羽毛、宝石など。キャラに合った素材を使用する。
ポイントをいくつか押さえておきましょう。
「色」 point: 少ないかな? と思う程度の色数で。 | ○ 基本のカラーは「1色」を意識する。 パターンとしては ・メインカラー1色 + 馴染みの良いカラー(2色程度) =まとまり、落ち着きのあるデザイン ・メインカラー1色 + 反対色(メインより小さい範囲) =ポップ、パワフルなデザイン ○ 基本のカラーを「2色」以上用いる場合。 パターンとしては ・ビビットカラー + 無彩色 =目を引く、力強い、訴えるようなデザイン ・無彩色でないカラー + 無彩色でないカラー =カラフル、混沌、現代的なデザイン |
「素材」 point: 現実感よりも 見栄えを重視しよう。 | ○ 複数の素材を組み合わせること。 ○ 「柔らかい」〜「硬い」素材の幅広い組み合わせで、ディテールにメリハリが出る。 よく使われる素材 ・布 ・レザー ・エナメル ・金属 ……など キャラクターによっては使われる素材 ・羽毛 ・毛皮 ・宝石 ・シアー素材 ・レース ・植物 ……など |
「色」を決めるときは
配色によって、キャラクターのイメージカラーを定めます。
ポイントは、色数や色幅を押さえて「まとまりを出す」こと。
あなたの好きなキャラクターの衣装を見てみてください。
一見カラフルでも、無彩色(白〜黒)以外で使われているカラーは、思ったより少なくありませんか?
色の組み合わせのパターンは、上の表を参考にしてください。
「素材」を決めるときは
見栄えとキャラクターの性質を意識します。
例えばお金持ちのキャラクターには羽毛や宝石が似合いますし、ワイルドな雰囲気のキャラならレザーや毛皮が良いかもしれません。
細かな装飾には、金属が使われる場合が多いですね。
「柔らかい素材」〜「硬い素材」まで、いくつかの素材を組み合わせると、ディテールにメリハリが出ます。
このとき、装飾については1つポイントがあります。
「襟元に金属なんて使わないよ……」と思ったとしても、リアリティより見栄えを重視してデザインをしましょう。
その方が上手くいきます。
リアリティの追求は ① 「世界観」と②「パーツ」で実際の資料を参考に取り入れるのみが、ちょうど良い塩梅です。
オリキャラを作ろう
「手順書」はここまでで終わりです。
それでは①〜③の手順に従って、実際にオリキャラを作ってみましょう!
① 「型」+「アイテム」+「世界観」= イメージを固める。
② 「パーツ」= 衣装の構成を決める。
③ 「色」+「素材」= 詳細を詰める。
①〜③を順番通りに決めていきます。
これは重要度の高い順番になっていますから、例えば②で「パーツ」を描き込む時点になって、①で決めた「シルエット」を変更することはまず無いと考えてください。
あくまで順番通り①>②の重要度だということを念頭に置きましょう!
実はここまでのキャラデザ過程において、最も大切なのは「シルエット」です。
まずは手順①〜②までデザインしていきましょう。
ちゃんとそれっぽくなりました!
前々回のブログで衣装が何も思いつかず、キャラクターに服を着せられなかった事態と比べれば、だいぶ成長しています!
しかし、まだまだディテールの詰め方には粗を感じますね。
この辺りはゲームなどを参考に、プロのデザインを分析することで改善できそうです。
続けて手順③もやってみましょう。
回数を重ねればもっと良くなっていくはずです。
色選びや質感表現は、「塗り」の段階での課題ですね!
今後もっと勉強したいところです。
さて、今回の記事は以上となります。
「自分にもできそう!」と思っていただけたでしょうか?
私は本当にキャラクターの衣装が苦手だったので、今回の内容には実際の効果を感じています。
キャラクターデザインを難しく感じたり、キャラの服装に悩むなら、ぜひこの記事のやり方を試してみてください!
次回:体の描き方(手)
いかがでしたか?
キャラデザ攻略のヒントとなれば嬉しいです。
さて前回と今回で「顔」「キャラデザ」……と大きな難所を2つ超えたところで、次回は体の描き方について考えていきましょう。
「顔」「キャラデザ」についての記事は、情報を盛り込んだ分、多少ボリューミーな内容となってしまいましたが……
体については「手」「足」「胴」と記事を分ける予定なので、前回や今回よりもライトな記事にできると思います!
とはいえ体や各パーツはイラストの見栄えにとって、とても重要ですよね。
ポイントを押さえつつ、骨や肉の基本的な形についても知る必要がありそうです。
それでは次回の「イラスト部」にもぜひご参加ください!
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